札所3番 岩本山 常泉寺
山田橋を渡り、田んぼの中の一本道を歩いて行くと札所3番に到着します。中に入ると、この子持石が目の前にあります。この子持石は、子宝に恵まれない夫婦が、前掛けと袈裟を奉納して願をかけると子宝が授かると伝えられております。
隣には、なでぼとけがありました。病人が患部に相当する 像の部分をなで、その手で患部をさすると病気が治ると云われております。
本尊は、室町時代の作と伝えられる聖観音の木彫像になっております。この堂の向拝の彫物が素晴らしいので是非ご覧ください。その昔、この堂より北の矢行地に本尊が安置され、今の札堂の地に 行基菩薩彫刻の十王像が安置されていたと云います。 巡礼客十人あまりこの十王堂に宿り誦経し、その声は里人の心を 打ち非常に喜ばれたと云います。折しも近くにある矢追の地より数千 の征矢を射る如く光明が輝きこの地を照らし里人は驚いて十王堂に 集まり例の巡礼者をみると、いづこへか消えて矢行地にあるべき霊像 が厳然と座している姿に驚き里人は矢行地の堂を矢追に移し永く当所 に安置したと云う縁起があります。
當山の本尊ならびに十王の像は、行基の作にて誠にあらたなる霊験なり。境内にある不睡石に眼病を 祈ればかならず験あり。又長命水を服する者はいかなる難病も愈えるべしと、観世音の告によって 當寺の住持をはじめ諸人もその利益を蒙りたるもの少なからず。また子持石を嗣子なき者信心して祈 れば、福徳智慧ある善男子を授かることひとへに圓通大士の大慈大悲の本願、妙智力を仰ぎ尊むべし。
向拝と本陣を結ぶ虹梁にある龍のカゴ彫りは、とても見事です。これ、1本の木で彫ってあるので、かなりの日数がかかったと思います。彫刻師は、玉井村の飯田和泉さんと云われております。和泉さんは、天保の頃、箭弓稲荷神社や氷川神社などにも関係がある名工です。
帰りの田んぼ道にアゲハチョウがいましたが、こういった出会いもとても良いものです。
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