茅葺き屋根

茅葺屋根は、今では、あまり見かけず、とても珍しい屋根になっております。すぎの子の屋根は特殊で、小麦で葺いておりますので、埼玉県でも、とても珍しい屋根になっております。昔は、この民宿のまわりにも何件かありましたが、どの家も茅葺屋根を維持するのが大変になってきて、トタンで巻いたり、瓦屋根にしたりして、ほとんどなくなってしまいました。秩父中を探すと茅葺屋根の家は、まだ、ありますが、どこの家も維持するのが大変そうです。職人さんも高齢になっており、ほとんどいなくなってしまいました。屋根の材料は小麦で作られておりますので、埼玉県の熊谷・児玉などを探して集めてくるのですが、その作業も大変で、2トントラック3台は必要な時もあります。現在は、私(宮崎義彦)が、屋根を葺く工程を独学で覚えて、作業をしておりますので、なんとかこの家をこれからも守って行けそうです。

■茅葺屋根の葺き替えは、こんな感じです。

 

 古い茅を取り除く

茅葺き屋根

古い小麦を取り除いている作業です。下の方の小麦は真っ黒になっておりますので、この作業をしていると、顔から体まで真っ黒になってしまいます。かなり大変な作業になっております。

 

屋根の下地を作っていく

茅葺き屋根

これは新しく屋根の下地を作っている作業です。下地が悪くなると小麦を葺いても、悪くなっている部分が沈んでいくので、どんどん深くなっていってしまいます。こうやって新しくすると小麦を葺いてもいつまでも綺麗にそろっているものです。丸太、真竹、割った竹を使い、縄を使って絞めていきます。私は、下地の組み方から覚えておりますので、下地が悪くなっても作れる状態になっております。

 

縄の結び方もいろいろあります

茅葺き屋根

縄の結び方もいろいろあって、特に難しいのが、この「いちごがけ」という縛りかたになります。これは、途中で縄を切らずに、一本の縄で、こうやって縛っていきます。この結び方は、たとえば、何年か経って途中で縄が切れても、他の縄がそれを補うような感じになっております。

 

小麦を並べていき端の部分を作る

茅葺き屋根

下地が完成したら、一番下になる部分に小麦を並べていきます。一つの小麦の束を、4つの段階の葺き方によって束を作り、画像のように綺麗に並べていきます。ここは、立ち上がりの部分になるのでうまく葺かないと、この上に、小麦を葺いていっても、うまくいかなくなるほど重要な部分になっております。立ち上がりがうまくいったら、端にいき、刀をイメージしながら4つの段階で茅の束を作り、仕上げていきます。ここは、定規になっておりますので、ここがうまくいかないと平らな部分もうまく葺けなくなります。

 

小麦を葺くリズム

茅葺き屋根

小麦を並べていくときは、上の方は、薄く調整して葺いていき、下の方は、厚めに葺いていきます。場所によって葺き方の工程が違いますが、慣れてくればリズムよくできるようになってきます。私は、練習台を作って、そこに小麦を並べていき、小麦を持つ感覚を体に身につけました。

 

屋根の角度調整をするコテ

茅葺き屋根

小麦を並べ終わると図のような木のコテを使って角度調整をしていきます。これは、杉の木の根元を使って作っております。職人さんが持っている道具をみて、真似て作ってみました。かなり、小麦が引っかかるので叩くのにとても便利です。私は、「コテ」と言っておりますが、地方によっては、これを「ガキ」といっている所もあるみたいです。

縄を絞めていく

茅葺き屋根

これは、縄を絞めている作業です。私は、力が強いので、縄を切らないようにしっかりと締めていきます。

 

ハナの部分を作る

茅葺き屋根

ここは、「ハナ」と呼ばれている部分で、かなり難しくなっております。ここが作れないと、ここから上の部分は作れなくなってしまいます。縄と針金を使って小麦の束をしっかりと締めていきます。小麦の葺き方も特殊なやり方になっております。私は、3回ほど、作り方を見せていただいたので、作れるようになりました。

小麦の持ち方は、経験と体で覚える

茅葺き屋根

小麦を綺麗に持つ感覚は、経験と体で覚えていきます。人によって体の大きさや手の長さが違っているので、何回も何回も小麦を持っていつも同じ量を持てるように体に覚えさせます。この感覚を覚えるのに、私もかなり苦労をしました。職人さんが毎回、同じ量の小麦を持っている姿を見て、私もいつか、あのようになってみたいと思っておりました。現在では、なんとか同じ量を持てるようになってきており、目標に近づいてきたと思います。

ハナの部分の下側をカットする

茅葺屋根 葺き替え

これは、ハナの下の部分をカットしている様子です。ハサミを逆向きに持ち、カットしていきます。慣れていないとできない作業になっております。

ハナのラインをカットしていく

茅葺き屋根 葺き替え

ハナの部分を上に向かってカットしている様子です。上からカットしていき、下側に移動してカットしております。ここを綺麗にカットしてから横の平らな部分に移動していきます。

屋根の平らな部分をカットする

茅葺き屋根 葺き替え

屋根をカットするハサミは、ブーメランのように曲がっているので、ハサミの支点を見極めて、下から上へとカットするようにしていきます。これをずっと平均にカットしながら横に移動していきます。

竹ぼうきで小麦の破片を掃除する

茅葺き屋根 葺き替え

屋根用のハサミを使ってカットしたら、小麦の破片が散らばっているので、竹ぼうきを使って綺麗に落としていきます。

コテを使って角度を修正する

茅葺き屋根 葺き替え

竹ぼうきを使って綺麗にしたら、コテを使ってトントン叩いていき、角度を調節して綺麗に仕上げていきます。

屋根を完成させる

茅葺き屋根 葺き替え

こんな感じで完成することができました。ここまでの技術を覚えるのに、8年かかっております。小麦は、細くて短いので、手に持つ感覚を覚えるのにかなり苦労をしましたが、なんとかここまでたどりつくことに成功しました。私は、足場作り、下地作り、縄の縛り方、小麦の葺き方のすべてを覚えましたので、この屋根に何かあっても大丈夫なほどの技術を習得しました。これからも職人さんの言葉を思い出し、腕を上げていきたいと思います。

 

ハチの家は茅葺屋根の家です

 

茅葺き屋根

すぎの子の愛犬ハチ(黒柴犬)ちゃんの家です。私が、茅葺屋根の犬小屋を作ってみたのですが、冬はとても暖かいみたいですよ。うすい毛布を入れているだけなのですが、汗をかくほどです。夏は逆に涼しいみたいで、暑いと中に入っております。下地は竹で作って、縄の縛り方も職人の技を入れております。犬小屋と言っても、職人の技はすべて入れてありますよ。

 

茅葺屋根の職人さん

うちの宿の茅葺屋根の職人さんの技法は、秩父流になっているそうです。他県には、それぞれの流派があるみたいで、それぞれやり方が違っているそうです。この秩父流を使えるのは、現在いる職人さんだけで流派が絶えることは、悲しいことです。秩父の流派がなくならないように精一杯の努力をしていきたいものです。いつまでも茅葺き屋根の家の風景を守っていくために、これからも日々努力を続けていきたいと思います。皆さんの思い出になる家の姿を守るために。。。

 

担当:宮崎 義彦

 

 

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